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路地裏バーのからくり書庫(民事法)

民法,商法などの裁判例,判例を紹介していきます。

すこーしだけ真面目に考えてみよう―安愚楽牧場被害対策弁護団vs.海江田万里氏の訴訟の判決

実は結果が少し気になっていたんだよね。やっぱりなあって結果だったけど。

大したこと書けないけど,書いている人いないかもしれないから,敗訴理由を推測してみましょうか。

 

(訴訟で提出された書面は,請求すれば閲覧可能だし,利害関係者ならばさらに謄写も可能。さらに,判決文には著作権がないから当事者の氏名住所を黒塗りにすれば公表できると思うんだが。。)

(あと,声明文の読点が「,」ではなく「、」なのはなんでだろう??判決文は「,」でそれが法律事務ではスタンダードだと思ってた。。)

 

 

(1) まず,損害賠償請求ということなのだが,ちゃんと請求に法律の根拠がなければならない。

 

雑誌記事の内容に関する損害賠償請求なので,法律の根拠としてとりあえず考えられるものとしては,以下のものになると思うんだな。

 

不法行為

債務不履行

 

でも,②は相手方と契約関係にあることが前提なので,海江田氏と原告ら投資家は契約関係にないから(海江田氏が契約関係にあるのは,記事執筆を依頼した出版社。),

おそらく①不法行為が法律の根拠になるのかね。

 

(2) 次に,法律の根拠となるものがあっても,それに該当すると主張するためには条文で定められた要件を満たすことが必要となる。

 

不法行為の場合,以下の通り。

①権利または法律上保護される利益の侵害

②①につき,故意又は過失があること

③損害の発生

④②と③につき,因果関係があること

 

(3) これに,この訴訟での弁護団の主張を当てはめてみると,こんな風になるのかな。

①原告ら投資家の判断を誤らせた(=自己決定権の侵害??)

②海江田氏は,元本保証,安全な投資だという記事を,偽りだとわかっていたのに書いた又は少し調べれば偽りだとわかったのにろくに調査もせず書いてしまった

③原告らは,安愚楽牧場に投資してしまい,安愚楽牧場が破たんした結果元本が回収できなかった

④原告らが安愚楽牧場に投資したのは,海江田氏の記事を見て信じたからである

 

これらの要件を満たすと主張するだけでなく,ちゃんと立証もしなければならない。

 

読売新聞の記事だと(http://www.yomiuri.co.jp/national/20160909-OYT1T50067.html

「判決は、海江田氏が「牧場のリスクはゼロ」などの記事を著書や雑誌に執筆した1986~92年頃は「和牛オーナー制度が特筆すべきリスクをはらんでいたとは認められない」と指摘。「海江田氏が一般消費者に不適切な情報を伝えて、投資判断を誤らせたとはいえない」と判断した。」

 

おそらく,上記のうち②の前提である「安愚楽牧場の投資はハイリスク」,④損害との間の因果関係,という点が立証できなかったのかね。。

 

海江田氏の記事による損害が生じたというには,「記事の載った雑誌が市場に出回っており記事が公表されていた期間に」,「安愚楽牧場の投資がハイリスク」と言えなければならない。けど,その頃は,安愚楽牧場の投資をしていた人は,儲かっていた,ってことなのかな。。

 

(4) 他に問題あるとすれば,時効問題。不法行為の時効は3年なので。

 

(5) 「詐欺商法」を「広告宣伝」したことに対する損害賠償の訴訟で,実際に責任を認められたものがあって,確か,大阪地裁の判決だったかな。。記憶があいまいだけど。

 

以上??